色んな街や自然の中を周遊しているような気持ちになる。シーネ・エイ「フェイス・ザ・ミュージック」
緑が青々とした美しい新緑の季節。この爽やかな季節だからこそ、どうしても聴いて欲しいアルバムがある。それは、デンマークから届いた、女性ジャズヴォーカリスト、シーネ・エイの「フェイス・ザ・ミュージック」である。 実質は3枚目にあたるが、2011年に日本デビューを飾った『ブルーな予感』では、ヨーロッパ特有のメランコリックさを、彼女なりの解釈で希望を見出した作品にし、その後、2012年にリリースした『Beauty Of Sadness』では、オーケストラをバックに、ジャズに限らない名曲たちをオリジナル作品と共に、華やかで輝きのある作品に仕上げた。本作はまさにその2つの作品の要素を、絶妙なバランスでブレンドし、ピアノトリオを軸に彼女らしい風景の見える世界観を描いている。曲によっては、彼女の本髄にあるメイン・ストリーム・ジャズ的なものがあるが、『ブルーな予感』からこのバンドのサウンドを担うピアニスト、ヤコブ・クリストファーセンの先鋭的なセンスにより、洗練された新しいジャズに寄せている。 その香り高き美しい感じと、また優雅な感触が、この暑くもなく寒くもない、1