NAOKO SHIMADA

 

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Column

色んな街や自然の中を周遊しているような気持ちになる。シーネ・エイ「フェイス・ザ・ミュージック」

March 14, 2016

 

緑が青々とした美しい新緑の季節。この爽やかな季節だからこそ、どうしても聴いて欲しいアルバムがある。それは、デンマークから届いた、女性ジャズヴォーカリスト、シーネ・エイの「フェイス・ザ・ミュージック」である。

 

実質は3枚目にあたるが、2011年に日本デビューを飾った『ブルーな予感』では、ヨーロッパ特有のメランコリックさを、彼女なりの解釈で希望を見出した作品にし、その後、2012年にリリースした『Beauty Of Sadness』では、オーケストラをバックに、ジャズに限らない名曲たちをオリジナル作品と共に、華やかで輝きのある作品に仕上げた。本作はまさにその2つの作品の要素を、絶妙なバランスでブレンドし、ピアノトリオを軸に彼女らしい風景の見える世界観を描いている。曲によっては、彼女の本髄にあるメイン・ストリーム・ジャズ的なものがあるが、『ブルーな予感』からこのバンドのサウンドを担うピアニスト、ヤコブ・クリストファーセンの先鋭的なセンスにより、洗練された新しいジャズに寄せている。

 

その香り高き美しい感じと、また優雅な感触が、この暑くもなく寒くもない、1年で1番いいと思われる季節にとても合っている気がする。そして、収録されているカヴァー曲も、ジャズのスタンダードである「月光のいたずら」や、レナード・バーンスタインの「サムホエア」、ミッシェル・ルグランの「これからの人生」など、メロディアスで心に引っ掛かる、彼女らしい選曲が並び。彼女の美貌に比例する中声域の美しいベルヴェットヴォイスでより極上な世界へと誘う。また、シンガーとしての実力のみならず、ソング・ライターとしての才能も突出している。

本作品にも印象深い6曲のオリジナル曲が収録されている。「曲はツアー中や、旅先のホテルやカフェで生まれる」と、以前彼女にインタビューをした際に、そう語っていたのを思い出した。確かに彼女の作った曲を聴くと、色んな街や自然の中を周遊しているような、そんな気持ちになる。本作に収録されている曲も、ピアノトリオの繊細かつ鮮やかなアレンジによって、より研ぎ澄まされたものに。ふとヨーロッパのどこかの古い街並みが広がる瞬間が訪れ、一緒に旅をしているようなイメージが広がるだろう。

 

また実力のある歌はもちろんのこと、凛とした美しいルックスとファッショナブルなセンスで、常に注目を浴びている彼女。来日コンサートでは、さらに多くのファンが彼女のことを迎え入れる事だろう。

 

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